良ク噛ンデ生キマセウ

何か日常的に食べたり飲んだりしたものを多分書きます。

8杯目「喰らう」

土曜日の事。

今週は仕事が色々あって、それはそれはもう心がやさぐれるわ疲れはピークだわで豪い目に合いまして。
こういう大変だった時は、頑張って乗り切ったのだから何か美味しいものでも食べて帰ろうじゃないか!と思い立ちまして。

しかしこう、美味しいものと申しましても、こういう時は案外豪華過ぎるものは宜しくないのですよね。個人的に。
もっと食べなれていて、其れでいて旨いものがこういう場合は心に響くような気がします。

自分が借りている駐車場の直ぐ目の前には、一軒の蕎麦屋さんが御座いまして。
今流行の団塊世代が趣味で覚えておっぱじめた、手打ち蕎麦の店のような堅苦しい雰囲気のお店では無く、昔からある町のお蕎麦屋さんなのですが。

兎に角此処は旨いっ!ので此処で食って帰る事に。

自分、蕎麦好きになったのがここ数年での事なので、蕎麦が「どう旨い」と言う事を理解する迄には至っておらぬ未熟者なのですが、然し「どう旨い」かは理解しておりませぬが、「旨いか不味いか」は判ります。
その上で申しますが、この蕎麦屋さんは旨い、のです。

蕎麦は自分好みの固めの蕎麦で、噛むと(表現的にアレだけど)アルデンテで茹でられたパスタに近い食感であり、麺の細さと相まって、その噛み応えは実に心地良いものでして。
其れをつるつると手繰り、軽く租借して喉へ流し込む工程は、食べる事でしか得られぬ愉悦と申して差し支え無いでしょう。

そして蕎麦汁がまた素晴らしい。

出汁は鰹出汁をふんだんに使っていて、やや甘味のあるその味わいは蕎麦を手繰る手が止まらんですよ。
蕎麦を食べ終えた後に出される蕎麦湯も、蕎麦汁に合わせて頂くのもたま素晴らしいです。甘味が利いているのがここで特に光って来ますな。

そんな訳でここの蕎麦が大変に好きなのですが、今回は蕎麦がメインでは御座いません。
蕎麦屋さんのもう一つの顔と言って差支えが無い「カツ丼」がメインで御座います。

自分は兎に角丼ものが大好きでして。カツ丼は言わずもがな。中華丼にカルビ丼に牛丼に親子丼に卵丼にカレー丼に、あと何だ。まあ兎に角丼ものは何でも大好きなのですよ。
そして其の中でも特にカツ丼は愛して止まぬ丼ものなので御座います。

そしてこのカツ丼は、どういう訳か蕎麦屋さんのが一番旨いんですな。
丼ものの専門店や、とんかつ屋さんが作るカツ丼も実に旨いですが、蕎麦屋さんのカツ丼に勝るものは無いと断言して差し支えは無いでしょう。

ううむ。今回は前置きが兎に角長くなってしまった。まあ無計画に綴っているからしゃあないですよね!

そんなこんなで蕎麦屋さんに突撃しながら、カツ丼を食す訳ですが。
蕎麦屋さんに来たのに蕎麦を食べないのは、道義に反すると言うか何と言うか。自分の中では許せぬ行為なのであります。
なのでもりそばも一緒に注文するよ!セットじゃなくてどっちも単品でね!

※今更ですが自分は量を食べる方なのです。年齢考えると相当アウトですが、死ぬ迄治らないと思います。

そんなこんなで待つ事数分。先に運ばれてきたのはカツ丼で有ります。

カツ丼の乗っているお盆の上には、小鉢に野菜サラダ、小皿にキュウリのお漬物、汁椀には御御御汁と、極限まで無駄を省き、尚且つこの上無い程にベストな組み合わせ。
御御御汁を一口飲んで、さあカツ丼を食うぜ!と手を伸ばす。

物の本によれば世界中を見渡してみても、お椀やお皿に直接口を付けて食べるスタイルがあるのは日本だけだとか。
だったら丼も口に付けてかっ込まなくちゃならないですよね!
作法も何も無く、兎に角かっ込む。此れが寧ろ丼ものの作法のような気がして居ります。

いやいやしかしこの蕎麦屋のカツ丼てのは、どうしてこうも旨いのでしょうかね。

カツ丼はやや甘く味付けされていないと個人的にはアウトなのですが、この程好い甘さと加減の聞いた出汁の風味。そしてその味付けが御飯にも具にも程好く染み渡る汁加減。

一心不乱にかっ込んでいると、やや遅れてもりそばの登場ですよ。

しかし、麺が延びるだの乾くだの。そんな事気にしちゃいけません。先ずはカツ丼を倒すのが先です!
猫舌なので、余り熱いものは得意では無いのですが、此ればかりは暑いうちに始末するのです(でも冷まして冷たくなったカツ丼も味が馴染んで其れは其れで旨い)。

カツ丼を始末し、サラダや御御御汁をも平らげたらもりそばに着手ですよ。
もうデザート感覚で。

カツ丼を頬張って火照った身体には、このもりそばの冷たさが実に良いっ!
行き成り薬味を入れるのは自分的にアウトなので、先ずは蕎麦をその汁で手繰るっ!兎に角手繰るっ!

そして蕎麦の残り具合を見ながら、葱、天カス、わさびの順に薬味を投入しつつ、一気に蕎麦を手繰るっ!

旨え・・・。ホンットに旨え・・・。

カツ丼を食いに来たとは申せ、この蕎麦の旨さはまた格別であります。
ざるそばとどっちにするか迷いましたが、海苔が今回は余計な気がしたのでもりしましたが、大正解でした。

蕎麦を手繰っていると、お店の人が「これもどうぞ」と蕎麦湯を運んで来てくれました。
此れがまた、ね。旨いですよね。

蕎麦湯を飲むなら薬味が余計な気がしなくもないですが、個人的に葱等が入った汁を、蕎麦湯を入れて頂くのが好きなのですよ。
そしてここまで急いで食べてきたので、最後の上がり的な感じで、急がずゆっくりと頂くのが良いですな。

いやぁしかし。久し振りにこの蕎麦屋さんで食べましたが、ホント旨いなぁとしみじみ感じましたよ。
お昼の時は街中にある所為で、近くのサラリーマン等でごった返すお店なのですが、夜は近所の方が静かに来る程度になるので、ゆっくりと最後の蕎麦湯を頂けるのもポイントです(夜は出前がメインっぽい)。

向かいのテーブルにいたおじ様が、焼酎水割りをジョッキでガッツリ飲んでいるのを見て、ひじょーーーーに心惹かれましたが、今日は食べる日と決めていたのでこらえましたよ。

今週はホントに仕事が色々とアレでしたが、最後に旨いカツ丼が食べられて、物凄く報われた気になりました。
また来よう。是非来よう。